刑法の改正(拘禁刑の創設)

こんにちは。弁護士の井川です。

1 刑罰の種類の変更

  現在の日本の刑罰は、死刑、懲役、禁固、拘留、罰金、科料の6種類(付加刑である没収を加えると7種類)です。

  このうち、懲役と禁固を一本化して「拘禁刑」を創設する改正刑法が6月13日の参院本会議で可決され、成立しました。

  刑罰の種類が変更されるのは、1907年の刑法制定以来、初めてのことになり、改正刑法の施行は2025年の見込みです。

2 消える懲役と禁固とは?

  懲役は、受刑者の身体を拘束して自由を奪う自由刑の1つで、受刑者を刑事施設に収容した上で、所定の作業(強制労働)につかせる刑です。

  禁固は、受刑者の身体を拘束して自由を奪う自由刑であることは懲役と同様ですが、所定の作業につくことは義務ではありません。

3 拘禁刑とは?

  拘禁刑は、自由刑であることは変わりありませんが「拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる」とされており、作業や指導などを受刑者に応じて柔軟に対応できることになります。

4 拘禁刑創設の意義

  受刑者への指導が明記された改正刑法は、犯罪者は懲らしめるべきだという懲罰主義から「更生、教育」に軸足を移した転換としても注目されています。