非弁行為 報酬を得る目的とは

1 非弁

前回のブログでも解説しましたが,非弁とされる要件は次のとおりです。

⑴ 弁護士又は弁護士法人でない者

⑵ 法律事件に関する法律事務を取り扱うこと

法律事件に関する法律事務の取扱いを周旋すること

⑶ 報酬を得る目的があること

⑷ 業としてなされること

今回のブログでは,前回に引き続き,⑶報酬を得る目的があることについて解説します。

2 報酬とは

前回のブログで,非弁は報酬を得る目的をもつ目的犯的性格を有すると説明しました。

それでは,ここでいう報酬とはいったい何のことをいうのでしょうか。

金銭に限定されるのでしょうか,それとも接待のようなサービスも報酬とされるのでしょうか。

⑴ 報酬とは具体的な法律事件に関して,法律事務取扱いのための主として精神的労力に対する対価をいい,現金に限らず,物品や供応を受けることをも含まれる。とされています。

したがって,報酬とは,単純に金銭だけではなく,物を受け取ることや接待を受けることも含まれていると理解することができます。

⑵ また,報酬は,金額の多少や名称の如何を問いません。

つまり,少ない金額であっても,報酬とは異なる表現をしたとしても,本要件の報酬に該当するとされる場合があるのです。

⑶ さらに,報酬を受けることについては,事前にそのような約束をした場合だけでなく,途中や解決後に謝礼があることが通例であるということを知っていてそのような謝礼があることを予期していた場合も報酬を得る目的があったということを妨げられません。

⑷ 報酬を得る目的があること,あったことが要件ですから,実際に報酬を得ているかどうかは非弁の成立には影響がありません。

3 終わりに

前回から引き続き,非弁について解説しました。

非弁行為は,依頼者の正当な利益を実現することに対する大きな妨げになる行為です。

弁護士としては,非弁行為をする者から依頼者を守るとともに,自らも非弁行為を行う者に巻き込まれることのないよう,注意して業務を行う必要があるでしょう。

本日のブログは以上になります。

非弁に注意

1 非弁とは

非弁とは,弁護士又は弁護士法人でない者が,報酬を得る目的で訴訟事件,非訟事件及び審査請求,異議申立て,再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事務に関して鑑定,代理,仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い,又はこれらの周旋をすることを生業とすることをいいます(弁護士法72条参照)。

弁護士法では,弁護士又は弁護士法人でない者が上記の行為を行うことを原則禁止し,違反者に対しては,2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処するとしています(弁護士法77条参照)。

2 なぜ非弁行為が禁止されるのか

弁護士法が,非弁行為を禁じているのは,弁護士のように厳格な資格要件をクリアし厳正な規律に服すべきなどと様々な措置が取られている資格者以外の何ら規律に服しない者が,みずからの利益のためにみだりに他人の法律事件に介入することを放置すると,当事者その他関係者らの利益を損ね,ひいては法律秩序を害することにもなりかねないためです。

3 非弁とされる要件は

非弁とされる要件は以下のとおりです。

⑴ 弁護士又は弁護士法人でない者

⑵ 法律事件に関する法律事務を取り扱うこと

法律事件に関する法律事務の取扱いを周旋すること

⑶ 報酬を得る目的があること

⑷ 業としてなされること

このうち,今回のブログと次回のブログにおいて,⑶の報酬を得る目的があることの要件を解説します。

4 報酬を得る目的があるとは

非弁とされる要件の一つとして,報酬を得る目的があることが必要とされます。

つまり,非弁は,目的犯的な性格を有するものといえます。

資格や規律に服することなく何らの保証もないにもかかわらず,その活動に対して対価を得ることの不当性が,本要件が設けられた理由の一つとなります。

本要件により,報酬を得る目的がなければ非弁とされることはありませんので,たとえばまったくの無料で奉仕するような場合には非弁とはならないと考えられます。

報酬を得る目的については,次回のブログでも触れようかと思います。

本日は,以上となります。