刑事処分における医師のリスク

医師が刑事事件を起こしてしまった場合、刑事手続き自体は一般の刑事事件と異なることはありません。

ただし、医師の場合、刑事処分が科されると、医道審議会による行政処分を受け、業務停止や医師免許の取消等の処分を受けてしまう特有のリスクがあることに注意が必要です

1 一般的なリスクの例

逮捕・勾留は、医師が刑事事件を起こしてしまった場合の一般的なリスクといえるでしょう。

捜査機関に逮捕・勾留されると、最大で23日間もの長期間にわたって身柄を拘束される可能性があります。

このような長期の身柄拘束は、社会復帰を著しく妨げるリスクがあり、例えば、開業医の場合、拘束期間中は診療を行うことができないばかりか、逮捕・勾留されたことによる風評被害が発生し、医院の評判を著しく落としてしまうことになりかねませんし、勤務医の場合には、逮捕・勾留されたことが勤務する医療機関に発覚して、契約関係を終了されてしまうという事態も生じかねません。

2 医師特有のリスク

医師が刑事処分を受けた場合には、医道審議会による行政処分の対象になります。

医道審議会とは、医師法及び医道審議会令により設置が規定されている医師や歯科医師の行政処分を審議する厚生労働省所管の審議会です。

医師法には、罰金以上の刑に処せられた者は、戒告、3年以内の医業の停止、免許の取消しの処分が課されることがある旨が規定されているため、医師資格を守るためには、刑事手続きでの適切な対応は当然、医道審議会手続きでの適切な対応も重要になります。

いずれについても、弁護士による適切なサポートを受け、可能な限りリスク回避されることをおすすめいたします。