販売代理店契約④

1か月にわたり公開してきた販売代理店に関するブログも今回が一応の最終回です。

今回の弁護士ブログでは,販売店契約を締結する際に注意すべきポイントについてご紹介します。

 

1 独占性

一般的に,販売店と大元の事業者が販売店契約を締結する際には,独占性の条項が入れられることがよくあります。

ここで,独占性とは,販売店が,大元の事業者が販売店に対して販売したある製品を独占的に第三者に販売することができるということを意味します。

この独占性の条項があることによって,販売店は安心して当該製品の販売に注力することができます。

なぜなら,販売が独占的でなければ結局のところ当該製品に対して激しい価格競争が生じるおそれがあるために,大元の事業者から当該商品を購入して第三者へと販売し,その差額で利益をあげるという経済活動に支障を来す可能性があるからです。こうなってしまっては,販売店が販売店契約を締結するインセンティブが失われてしまうため,販売店契約には,独占性の条項が入れられることが多いのです。

2 最低購入義務

1で紹介した独占性の条項とあわせて入れられることが多いのが最低購入義務に関する条項です。

独占性は,販売店に利する部分が大きいものですが,この独占性の条項だけでは,仮に販売店が第三者に対して全く製品を売れず,在庫ばかりが増え,以降大元となる事業者から全く製品を購入しなくなった場合に,大元の事業者は独占性の条項があるために,他店と販売店契約を締結することもできず,結局のところ製品を全く売ることができなくなるという事態が生じてしまいます。

そこで,大元の事業者としては,販売店が大元の事業者からこれだけは必ず購入するといった最低購入義務を定め,上記のリスクに対応しようとするわけです。

独占性の条項と最低購入義務に関する条項とは必ずしも契約内容に双方を入れなければならないというものではありませんが,販売店契約を締結するにあたっては,慎重に検討するべき条項の一つといえるでしょう。

販売店契約が締結されるのは,名古屋のような都市部に限りません。

身近なものではないかもしれませんが,契約の肝について知っておくことは有用であると考えられます。

本日のブログは以上になります。